最近の研究進捗 (2021年3月)
現在のところ、下記の論文が今年の1月~3月に公開になりました。
- Novel Accelerated Test Method for RH Dependency of Steel Corrosion in Carbonated Mortar
中性化した環境で、異なる湿度の条件での鉄筋の腐食速度、およびモルタルの電気的な抵抗等について報告しました。新しい実験方法で今後、多くのデータを累積していく予定です。 - Hinderance of C-S-H sheet piling during first drying using a shrinkage reducing agent: A SAXS study
収縮低原剤の作用機構は従来の定説とはことなり、C-S-Hの処女乾燥化の変質を制御する役割であることがわかってきましたが、ここでは、X線小核散乱を用いて、メソスケールの分析を行いました。収縮低原剤を用いた場合にC-S-Hが凝集しないで、個別に乾燥していくことが世界で初めて可視化されました。 - Long-term use of modern Portland cement concrete: The impact of Al-tobermorite formation
こちらは名古屋大学で実施している浜岡プロジェクトの成果です。
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報道:国内 海外 - Mechanism of drying-induced change in the physical properties of concrete: A mesoscale simulation study
剛体バネモデルと実験値との比較から、従来、コンセンサスの得られなかった乾燥したあと強度が上昇するのか下がるのか、という問題について、C-S-Hの変質による強度変化と骨材とペーストの体積変化によるひび割れのバランスで決定する、ということを明らかにしました。 - Water Uptake in OPC and FAC Mortars under Different Temperature Conditions
現在実施している福島第一原子力発電所の廃炉に関わる英知事業について、東大で実施する前の名古屋大学で実施した事業の中からの報告になります。コンクリートは他の多孔体の水分吸収挙動と異なって、吸水した水分量は水の吸い込み深さが時間の平方根に比例しません。この挙動が、C-S-Hの動的な変化によるものであることを実証しました。特にこの挙動は高温のときに大きな影響があります。