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セメント・コンクリート論文集公開

赤外分光法を用いた大気二酸化炭素濃度下におけるセメント硬化体表面の炭酸化反応の湿度依存性に関する分析 佐伯 直彦, 栗原 諒, 丸山 一平 https://doi.org/10.14250/cement.76.36

セメント構造物内に固定される二酸化炭素量を正確に評価するため、炭酸化反応への理解が必要である。本研究では、大気二酸化炭素濃度でのセメント硬化体表面の炭酸化反応を、湿度を変数として赤外分光法(FTIR)を用いて調査した。得られたピーク強度を積分することで半定量的に各成分の経時変化を分析し、粉体表面での炭酸カルシウムの生成速度および水酸化カルシウムの分解速度を指数関数で近似することができた。また、C-S-Hゲルの脱灰及びシリケートの重合反応をピーク波数のシフトから見てとることができた。加えて、生成する炭酸カルシウムの析出相の湿度依存性も明らかにした。

ラマン分光法を用いた異なるCO2濃度下における湿潤環境でのセメントペーストの炭酸化反応の研究 伊神 竜生, 後藤 壮, 丸山 一平 https://doi.org/10.14250/cement.76.45

本研究は、セメント硬化体の炭酸化反応が最も進行する湿潤環境(95%RH)において、CO2濃度1%と大気濃度(約0.04%)でセメント硬化体を炭酸化させ、ラマン分光法を用いて炭酸化反応の進行の違いについて分析を行った。各セメント水和物の反応速度について、一次反応を仮定した反応速度定数を算出した。その結果、C-S-Hの炭酸化速度は、炭酸化過程のごく初期においてCO2濃度1%の炭酸化の方で大きくなった。一方、水酸化カルシウムとエトリンガイトの炭酸化速度は大気濃度の炭酸化の方で大きくなった。また、CO2濃度の違いによりセメント硬化体の細孔溶液のpHが変化し、pHの高い大気濃度下の炭酸化で、エトリンガイトからのバテライトの析出が顕著であった。

低熱ポルトランドセメント硬化体の乾燥収縮性状に関する考察 瀬川 実暉, Aili Abudushalamu, 丸山 一平 https://doi.org/10.14250/cement.76.153

本研究では低熱ポルトランドセメント硬化体における乾燥収縮性状を検討するため、普通ポルトランドセメントおよび低熱ポルトランドセメントを用いて質量変化および長さ変化を測定した。質量変化─長さ変化関係は二直線近似ができ、屈曲点は概ね50%RHに相当した。この勾配変化から、低湿度域では可逆的なひずみ、高湿度域では可逆的なものに加えて非回復性のひずみが生じたと推測された。Lの不可逆的なひずみはNより大きく、これは単位体積あたりのC-S-H量が多いことや窒素吸着量、水酸化カルシウム量の差からゲル空隙が少なく、C-S-Hが作る構造体に層間空隙が多く、より均質な状態であると推察でき、容易に乾燥後の層間が架橋しやすいためと考えられた。

SIMULATION OF ANOMALOUS LIQUID WATER UPTAKE IN OPC MORTAR WITH DYNAMIC MICROSTRUCTURAL CHANGE MODEL Puttipong SRIMOOK, Ippei MARUYAMA https://doi.org/10.14250/cement.76.349

This study aims to develop the numerical method for the anomalous liquid water uptake on OPC mortar. The dynamic microstructural change diffusion model with the consideration of the saturation-dependent was proposed to represent the anomalous behavior. The microstructural change, an origin of anomalous behavior, was considered with the pore relaxation that reflects the rearrangement of C-S-H layers during the liquid water uptake process. An Interfacial transitional Zone (ITZ), which represents the impact of microcracks inevitably occurring in mortar and concrete, was included in the microstructure system. The good agreement of liquid water uptake characteristics (e.g., moisture distribution, penetration depth, and absorbed water amount) with the reference experiment shows the potential of the proposed method for an application on concrete.

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