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JBE:原子力発電所での高経年対策フリート管理

JBE(Journal of Building Engineering)から、浜岡プロジェクトに基づく新たな論文が発表されました。本研究では、老朽化したコンクリート構造物の強度を予測・管理するための手法が提案されており、セメントの水和反応だけでなく、骨材と水和生成物との相互作用まで考慮した強度予測モデルを提示した世界初の研究となります。50年に及ぶコンクリートの経年劣化に関する分析データが、このモデルの基礎となっています。

この論文の最も重要なメッセージは、原子力発電所敷地内の各原子炉ユニットを「コンクリートファミリー」として一体的に管理するという概念です。経年劣化管理活動の一環として採取されたコア試料など、各ユニットから得られる基幹データをパッケージ化し、時系列に基づく予測・管理手法を構築することで、原子炉構造物の艦隊レベルでの老朽化管理にこのアプローチを適用することが可能になります。これは、コンクリート廃止措置材料研究の実用的応用であり、本分野における初めての成功例といえるでしょう。

浜岡原発での廃止措置材料の研究からは多くの科学的知見が得られてきましたが、ようやくそれらを長期運用のための老朽化管理技術へと結びつけることができました。今後もこの研究を継続し、さらに深めていく予定です。

I. Maruyama, A. Aili, S. Sawada, K. Yokokura, Y. Umeki, Long-term use of modern Portland cement concrete: change in strength due to reaction between aggregate and cement paste, J. Build. Eng. 111 (2025) 113606. https://doi.org/10.1016/j.jobe.2025.113606

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